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テーマ15 目標や行動計画設定の際は、獲得すべき成果を明確にする

1.管理職者の重要な仕事は、考えて、考えて、考え抜き、
                 自ら目標と行動計画を設定すること

孫子の兵法に「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」という言葉があります。
  智:考えて、考えて、考え抜き自ら目標と行動計画を設定する。
  信:取引先、上司、同僚、部下から信頼されること。
  仁:愛情、思いやり。組織の長としての人間味が必要。
  勇:進退の適確な決断を行う。
  厳:組織の長としての厳しさ。仁と厳のバランスが重要。
今回は、孫子の兵法の内、「智:考えて、考えて、考え抜き、
自ら目標と行動計画を設定する」に関してお話しさせて頂きます。

「智」とは、考える力をいいます。
リーダーには、まず、「現状をよく理解した上で、考えて、考えて、考え抜き」
今後の方策を決定する力が求められます。

孫子の時代では、リーダーが備えるべき「智」とは、
敵のことをよく調べて知り、考えて、考えて、考え抜き、
戦いに必ず勝つための作戦計画を立てることとなります。

2.お客様のことを知って商品を売る、
      部下のことを知って部下を指導・育成する

◇戦わずして勝つ(敵を知って調略する)

孫子の兵法では、
「智:考えて、考えて、考え抜き、自ら目標と行動計画を設定する」
についての基本となる考え方は、『戦わずして勝つ』です。

孫子の兵法は、戦いについて下記のように記述してあります。
「戦争は、政治目的を達成することが目的であって、
戦い自体が目的ではない」、敵国を傷つけることなく降服させる
『戦わずして勝つ』のが最上である。

したがって、「最高の戦い方は、敵の意図を見抜いてこれを封じることである。
これに次ぐのは、敵の同盟関係を断ち切って敵を孤立させることである。
第3が戦火を交えることであり、最低の策は城攻めである」

「勝算なきは戦わず」が孫子の基本的な考え方で、
「勝ち目のない戦いを行うことは、愚の愚である」ということになります。

『戦わずして勝つ』とは、相手を調略するという意味合いでもあります。
織田信長や豊臣秀吉も、調略が基本で武力は相手を調略するための
補助的な役割と考えていたようです。

相手を調略するためには、相手が何に魅力を感じ、何を欲しがっているのか、
何に困っているのか、何を恐れているのかを調査し、分析する必要があります。
要するに敵のことをよく知るということになります。

調略をビジネス的に言うと、マーケティングとなります。
言葉を替えて言えば、「お客様を知る」ということです。

ドラッカーは、その著書「断絶の時代」で
マーケティングとは「販売を不要にすること」と言っております。

お客様のことをよく知って、
お客様の希望や欲求にかなう商品をそろえると
宣伝や広告などはしなくても売れるということです。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉も、孫子の兵法にありますが、
お客様のことを知るということが、今も昔も重要であることが分かります。

管理職者の仕事におきかえますと、
『お客様のことをよく知って商品を売る、部下のことをよく知って、部下を指導・育成する』
ことが、非常に重要なことであることが分かります。

3.管理職者として、本来、獲得すべき成果を明確に設定し、
         成果獲得のための行動をスケジューリングする

目標を設定する場合は、獲得すべき成果を明確に設定することが重要です。

孫子の兵法でいうと、目標設定の際の獲得すべき成果は、
「必ず勝つ」ということになります。

「考えて、考えて、考え抜き、必ず敵に勝てることが確信できるまで考える」
ことが、リーダーの第一条件となります。

孫子の時代では、戦いに負けると殺されてしまうので、
必ず勝てると確信できるまで考えることは、当然なのかもしれません。

企業内の管理職者におきましては、目標設定や行動計画設定の際には、
その目標や行動計画の達成により、例えば売上や利益がアップするのか、
不良率や不具合件数が減少するなど品質が間違いなく向上するのか、
部下の言動が変化するのかなど、
本来獲得すべき成果を得ることができるのかを
よく検討してイメージし、確信できるまで考えることが必要です。

思ったとおりの成果が確信できない場合は、目標や行動計画の見直しが必要となります。

この作業の繰り返しが、考えて、考えて、考え抜くということであり、
この繰り返しの作業により、
考えが深まり、精度の高い目標と目標達成のための行動計画ができます。

■目標設定や行動計画設定の際に獲得すべき成果例
 ・売上、利益のアップなど、どのような業績を得ることができるか。
 ・不良率や不具合件数の減少など品質の向上が図られるか。
 ・原材料費や工数削減などの原価低減が図られるか。
 ・職場内の業務内容がどのように変わるか。
 ・職場内の部下の行動、発言がどのように変わるか。
 ・その他。

獲得すべき成果が明確にイメージできると、
自分の行うことの正当性が確信できるとともに、
自信を持って取組むことができ、自分自身の動機付けともなります。

管理職者は、本来獲得すべき成果は何なのかを充分認識することが必要です。

そして、獲得すべき成果を得るための毎月や毎週、毎日の行動計画を
明確にスケジューリングすることが必要です。

スケジューリングした行動計画一つひとつの達成が獲得成果となります。